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財産が少ない方ほど「争族」対策が必要です!! ほっかい法律事務所阿部 竜司※阿部竜司弁護士は平成28年9月30日をもって当事務所を退所・独立いたしました。こんにちは。弁護士の阿部竜司です。
皆さんは,ご自身や,ご自身のご両親の相続について,
「うちはせいぜい自宅不動産くらいで,他には多少の預貯金があるくらいなものだから,相続税もかからないはずだし,特に対策は必要ないな。」
なんて思っていらっしゃいませんか。
実は,そのような方が亡くなられた場合の方が,後に遺産分割協議でもめてしまうことが多いのです。
遺産が多い方の場合,各相続人の方がもらえる1人1人の取り分も相応に大きくなりますし,分割方法についても柔軟なやり方が採りやすいということがあります。
また,遺産が多い方の場合,相続税対策が必要となるため,事前に円満相続の準備を進めるきっかけを持ちやすいという側面もあるでしょう。
これに対して,例えばめぼしい遺産が自宅の土地建物だけ,というような方のケースでは,その自宅に被相続人(例えば父親)と一緒に住んでいた長男が,父親の死後も引き続き自分がその家で生活するのが当然ということで,自宅不動産の単独相続を主張することが多いです。
このような場合,法定持分による遺産分割を進めるとすれば,自宅不動産の価値を算定し,相続人の数に応じて,その割合を長男が現金で支払うというような分割方法をとる必要があります。
例えば,A(長男),B(次男),C(三男)の三兄弟が相続人で,Aが被相続人である父親と一緒に住んでいた,というケースを考えてみます。
この場合に,Aが別の家に引っ越し,父親の自宅不動産は売却してその代金を三人で分ける,というやり方ができるのであれば,特にもめることはありません。
しかし,多くの場合,既に当該自宅不動産での生活が安定しており,かつ,それまで父親と暮らして何かと面倒を見てきた(場合によっては介護してきた)Aからすれば,父親の死後も引き続き自分がその自宅不動産の持ち主として暮らしていきたいと考えるのはごく自然です。
そうすると,Aは,自分が自宅不動産の単独所有者となる代わりに,BとCに,自宅不動産の価値相当額の3分の1ずつを支払う必要がでてきます。
このような場合に,Aが裕福で十分な現金を保有していれば問題はありませんが,往々にして,Aもさほど裕福なわけではなく,BとCに支払う現金が用意できない,ということが起こり得ます。
こうして,スムーズな分割が進まず,結果として紛争化していく,というような事例が実に数多く存在します。
上記のようなケースでも,父親が生前に対策を考えていれば,例えば生命保険を活用してAがBとCに支払う現金の原資を確保できるようにしたり,それでなくても,父親自身が元気なうちから家族でよく話し合っておけば,死後に紛争化するという事態は防げる可能性が高いといえます。
財産がそれほど多いわけではない方も,油断はせずに,元気なうちから,相続対策について一度専門家にご相談されることをおすすめします。
当事務所では,電話相談を含めて相続に関するご相談は無料でお受けしておりますので,お気軽にご連絡ください(詳しくは遺産相続/a>のページをご覧ください)。