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不貞行為をした側から離婚請求できる?民法770条の離婚理由とは ほっかい法律事務所横山 尚幸※横山尚幸弁護士は令和3年6月30日をもって当事務所を退所いたしました。本記事は当事務所在籍中に執筆したものです。以前のブログ「離婚手続の進め方。離婚裁判にかかる期間はどれくらい?」で、離婚理由によって離婚できる手続が異なることを紹介しました。
協議離婚と調停離婚の場合には離婚理由に制限はありませんが、話し合いによる合意が成立せず訴訟となり判決に至る場合には、離婚理由が限定されます。
その中でも民法770条で離婚理由として定められている不貞行為について、不貞行為が離婚理由とならないケースや、不倫した側から離婚請求ができるかどうかをお話していきます。
夫婦関係で悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。
不貞行為で離婚請求はできる?民法770条の5つの離婚理由とは?
民法770条に定められた「法定離婚事由」には、次の5つがあります。
1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3号 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。離婚相談を受け、離婚理由として挙げられることが多いと感じるのは、性格の不一致や不貞行為(配偶者がいるにもかかわらず、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと)です。
もっとも、性格の不一致は、民法770条の離婚理由に挙げられていないため、それだけで離婚理由にすることはできません。
その場合、性格の不一致を理由に別居を開始し、別居期間が長期に及ぶ等とし、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」があると判断されなければなりません。
一方、不貞行為は、民法770条1項1号に「配偶者に不貞な行為があったとき。」として離婚理由に挙げられています。
とはいえ、不貞さえあれば必ずしも同号の離婚理由に該当するとは限りません。
不貞行為が離婚理由とならない場合
不貞行為が離婚理由とならないケースの例を見てみましょう。
例えば、夫婦が既に別居をし、実質的に夫婦関係が破綻していることが明らかな状態で、浮気・不貞行為があった場合が挙げられます。
この場合夫婦関係の破綻と不貞行為に因果関係はないため、民法770条1項1号の不貞行為には該当しません。
また、不貞行為を行った配偶者が謝罪をし、他方が不貞行為を許した場合が考えられます。
その後再び夫婦関係が険悪になったとしても、過去の不貞行為は民法770条1項1号の不貞行為には該当しないと判断される可能性が高いです。
ただし、実際には不貞行為を許したか否かが問題となることが多いです。
不貞行為をした側からの離婚請求はできる?請求容認の3つのポイント
不貞行為をした配偶者が離婚を求めることはできるのでしょうか。
婚姻関係の破綻に専ら又は主として責任のある配偶者(=有責配偶者)からの離婚請求が認められるかが問題となります。
かつての裁判例では、不貞行為を行った有責配偶者からの離婚請求を認めない立場をとっていました。
「もしかかる請求が是認されるならば、被上告人は全く俗にいう踏んだり蹴たりである。法はかくの如き不徳義勝手気侭を許すものではない」という最高裁判所での判例もあります。
ですがその後、実質的に破綻した夫婦関係を例外なく維持することについて、批判的な見解が有力となり、一定の場合には有責配偶者からの離婚請求が認められるようになりました。
具体的には、離婚請求が容認されるかは下記の3点がポイントになります。
①夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及ぶこと
②その間に未成熟の子が存在しないこと
③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態におかれるなど、離婚請求を認容することが著しく社会正義に反すると認められないことこのように有責配偶者からの離婚請求が認められる場合もありますが、具体的にどのようなケースで①~③を満たすと判断されるかは、必ずしも明らかではありません。
例えば、①の別居期間についても、単に別居期間を数量的に対比するだけでは判断ができません。
7年半の別居で離婚が認められた事案もあれば、8年の別居でも「別居期間が相当の長期間ということはできない」として、離婚を認めなかった事案もあります。
③の「離婚を請求される相手側が離婚によって経済的に困窮しないか」という点については、離婚を請求される相手の収入や、離婚の際にきちんと慰謝料を支払う能力があるかなどで判断されます。
有責配偶者からの離婚請求は、別居期間、年齢や同居期間だけでなく、別居後の経過が与える当事者双方の諸事情の変容などを総合考慮して判断する必要があるとされています。
有責配偶者からの離婚請求については、諸般の事情を総合考慮して、信義則上認められるか否かという観点から判断しなければならず、法的知識が不可欠です。
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民法770条では、5つの離婚理由が規定されています。
上記のとおり、離婚理由に挙げられている不貞行為がある場合であっても、当然に離婚できるとは限りません。
婚姻関係の破綻に専ら又は主として責任のある配偶者が離婚を求める場合には、ハードルはさらに高くなります。
「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という包括的な離婚理由が定められていますが、どの程度の事情があればこの要件を満たすかを判断するためには、法的知識が求められます。
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