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民事裁判の期間はどれくらい?訴訟の流れも解説! ほっかい法律事務所堀江 健太今回は、民事裁判が始まってから終わるまでに、どれくらいの期間がかかるのかについて取り上げたいと思います。
これについては、私個人の経験によるのではなく、裁判所がしっかりと統計を取ってくれていますので、その内容を紹介したいと思います。
※以下のグラフ及び表の出典は「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」となります。
民事裁判期間の平均は9.1ヶ月間!過払金返還請求訴訟はより短期間に
上の平成12年以降の平均審理期間(裁判期間)のグラフをご覧下さい。
結論から言うと、民事裁判にかかる期間は約9ヶ月間です(平成30年時点)。
赤線の「民事第一審訴訟(過払金等以外)」から分かりますね。
さらにグラフを見ると、平成19年から平成22年において、青線で描かれた「民事第一審訴訟(全体)」の裁判期間が7ヶ月を切っています。
なぜこの時期に裁判期間が短くなったかというと、過払金返還請求訴訟が多かったためと考えられます。
こちらの棒グラフにあるとおり、平成21年から平成23年までは過払金返還請求訴訟が非常に多くなっています。
過払金返還請求訴訟は他の類型の訴訟と比べて短い期間で終結することが多いため、過払金返還請求訴訟が全体の裁判期間の平均を引き下げたものと考えられます。
民事裁判の期間は概ね9ヶ月の期間で、過払金返還請求訴訟の場合はより短期間に。
裁判を起こす場合はこれくらい時間がかかるものだと思って頂ければと思います。
民事裁判の期間は事件の種類で大きく異なる
民事裁判の期間の平均が約9ヶ月間とはいえ、事件の種類によっても裁判期間は変わってきます。
上の表は事件の種類別に裁判期間をまとめたものになります。
医療過誤(医療ミス)や建築瑕疵(建物の欠陥)のにように裁判期間が平均で2年を超えるものもあれば、建物明け渡しや立替金のように半年もかからずに終わるものもあります。
建物明け渡しは、平均的にすぐに終了することが多くなります。
案件のほとんどが賃料未払いで契約解除され、明け渡しを求められている事案と考えられるからです。
訴えられた側も賃料未払いである以上、あまり積極的に争うことがないんですね。
立替金は、ほとんどがクレジットカードのショッピングの未払いについてカード会社が訴訟を起こした事案と考えられます。
これも訴えられた側がカードの支払いをしていない以上、あまり積極的に争うことがないため、すぐに終了することが多くなります。
民事裁判での訴訟の流れとは?
民事裁判は、裁判所に訴状を提出することから始まります。
訴状の内容に問題が無ければ、第1回口頭弁論期日が定められ、裁判所から被告に訴状・呼出状等の書類が送られます。
訴状が送られてから第1回口頭弁論期日までに被告が準備を行えるよう訴状の提出から第1回口頭弁論期日までは少なくとも2ヶ月程度は空きます(平成30年はなんと平均2.7ヶ月です)。
被告が原告の主張を争う場合、裁判所は当事者双方の言い分・主張や証拠を確認し、何が争点であるのかを整理していきます。
このような争点整理を行うための期日は、平均で3回程度行われますが、期日毎の間隔はなんと平均1.8ヶ月に及びます。
裁判所・当事者それぞれに事情があるのでしょうが、もう少し何とかならないものかというのが偽らざる心境です。
ある程度争点が整理された時点で、裁判所から和解の可能性について打診される場合が多いです。
和解が成立しない場合は、証人尋問(人証調べ)が必要な事案では証人尋問を行い、裁判所が判決を言い渡すことになるのですが、上のグラフにあるように証人尋問を行う事案では訴訟を起こしてから判決まで平均で1年半程度かかります。
民事裁判の期間や訴訟の流れを把握しよう
民事裁判にかかる期間は平均で約8~9ヶ月間(平成26年時点)。
事件の内容によっては半年ほどの短期間で終わるものもあれば、2年以上の長期間に渡るものもあります。
意外と短いと感じられる方もいれば、やっぱり裁判は長いと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんね。
法律トラブルでお悩みを抱えている方は、当法律事務所へぜひ一度お気軽にお問い合わせください。