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交通事故で有休取得。休業損害は請求できる?損害額の計算方法は? ほっかい法律事務所堀江 健太皆さん有給休暇は取得(消化)していますか。
交通事故に遭って、怪我の治療のために仕事を休んで病院に行かなければならないという時もありますよね。
そんな時に、有給休暇がまだ余っているから、この機会に使ってしまおうという方もおられると思います。
果たしてその場合に休業損害は請求できるのでしょうか。
交通事故で有給休暇を取得しても休業損害を請求できる
休業損害とは、事故などで仕事を休むことになり、収入を得られなくなったり減収した分の損害のこと。
交通事故で有給休暇を取得した場合でも、休業損害を請求することができます。
有給休暇である以上、休んだとしても受け取る給料の額は減ることはありません。
そうだとすると、一見休業損害は請求できないようにも思えます。
しかし、被害者としては、有給休暇を取得する権利を失っているわけですから、損害は発生しているのです。
ですので、交通事故の治療のために有給休暇を取得した場合は、損賠賠償を請求できます。
交通事故による有給休暇取得の休業損害額
では、休業損害額としていくらを請求できるのでしょうか。
基本的には下記の計算で算定することができます。
休業損害額 = 1日あたりの基礎収入 × 休業日数
具体的な計算方法を、一つ例を挙げて説明してみましょう。
交通事故日は平成29年6月1日で、月給は30万円(額面)で、土日は仕事が休み、6月末までに5日の有給休暇を取得したとします。
期間で計算?出勤日ベースで計算?
まずは有給休暇1日あたりの価値がいくらになるのかを計算します。
この場合の有給休暇の1日あたりの価値の考え方として、月給30万円を6月1日~30日までの30日間で割るのか、土日を除いた22日間で割るのか、どちらが正しいのでしょうか。
前者であれば有給休暇の1日あたりの価値は1万円となり、後者であれば13,636円となります。
これについては、正解があるわけではなく、裁判例としても前者のように計算したものもあれば、後者のように計算したものもあります。
出勤日ベースで交渉する
私としては、あくまでも月給を出勤日で割って計算すべきと考えています。
有給休暇は出勤しなければならない日について取得できるものであって、休みの日に有給休暇を取得するこということはできないからです。
実際、最近取り扱った事件でも、保険会社は前者のように計算してきたので、私の方で交渉し、月給を出勤日で割った金額を賠償してもらいました。
交通事故による有給休暇の休業損害の請求方法は?
では、具体的に休業損害はどのように請求するのでしょうか。
休業損害請求のためには、勤務先に「休業損害証明書」を書いてもらう必要があります。
休業損害証明書は保険会社によって専用の書式があるため、勤務先に送ってもらうか被害者が勤務先に渡して記入を依頼することになります。
休業損害証明書を書いてもらったら、保険会社に送付するか、勤務先から保険会社に直接送ってもらいます。
怪我が治癒または症状固定し、示談が成立すれば、休業損害を含めた損害について支払われます。
交通事故による有休取得で休業損害が認められないケース
なお、治療期間中に有給休暇を取得したとしても、上記で計算した有給休暇の額が損害として認められない場合もあります。
たとえば、怪我の痛みのために完全に仕事を休まなければならないような状態であれば、問題無く認められます。
ですが、痛みはあるものの通常に仕事ができるというような場合、有給休暇を使用したのは個人的な都合であって、交通事故を原因とするものではないとされてしまうこともあります。
また、病院への通院のために有給休暇を使用したとしても、通院にかかる時間は長く見ても半日程度であると考えると、丸一日分の有給休暇を取得する必要は無かったとされてしまうこともあります。
そういった場合であっても、様々な事情(そもそも半日有休の制度が無い等)を説明し、休業損害が認められるよう交渉していくのが弁護士の仕事となります。
交通事故で有給取得した時の休業損害は弁護士に相談を
交通事故で有給休暇を取得した場合でも、休業損害が請求することができます。
損害額は有給休暇1日あたりの価値をどのように計算するかで変わりますが、弁護士に依頼することで、十分な賠償を受けることができる場合があります。
交通事故による損害のご相談は電話・メール・来所を問わず無料で行っておりますので、是非ご相談下さい。