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  • 自転車同士の交通事故。過失相殺の考慮要素について。
  • 自転車同士の交通事故。過失相殺の考慮要素について。
    ほっかい法律事務所
    綱森 史泰

    平成27年6月1日から、改正道路交通法が施行され、信号無視、通行区分違反など一定の違反行為を繰り返した自転車の運転者に、講習の受講義務が課せられるようになりました。受講しない場合、罰金が科せられる場合があります。

    また、近時、自転車の事故により重大な被害がもたらされることが意識され、自転車事故の過失相殺基準についても整備されつつあります。

    自転車同士の交通事故が発生した場合についても、どのような要素が考慮されるかについて検討が進み、考慮要素についての試案が発表されるなどしています(公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部刊 民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準2015下巻講演録87頁)。

    本日は、この試案における自転車事故の過失割合の考慮要素をご紹介するとともに、万一事故が発生してしまった場合のための保険についてご説明したいと思います。

    自転車同士の交通事故における過失割合の考慮要素

    1・原則

    車対車、車対歩行者などの交通事故と同じように、原則として、事故状況を類型化し、類型ごとに、基本過失割合を定め、これに以下に述べる修正要素を加味して、最終的な過失割合が決定されます。

    2・修正要素

    (1)「著しい過失」として10%を目安に過失が加重されるもの
    ア イヤホン・ヘッドホンを付けながらの運転

    イ 二人乗り、大きな荷物や車体から大きくはみ出る荷物等の積載

    ウ 著しい前方不注視

    エ 酒気帯び運転

    オ 制動装置不良(性能不足の程度により、「重過失」となることも)

    カ 傘差し状態での片手運転、物を持った状態での片手運転

     

    (2)「重過失」として20%を目安に過失が加重されるもの
    ア 携帯電話の通話や、携帯メール等の携帯電子通信機器の操作

    イ 酒酔い運転

    ウ 制動装置不備

     

    以上のような要素を加味して、過失割合を定めることが提案されています。

    初夏の北海道、自転車で街を走るのは気持ちのいいものですが、交通ルールを忘れないよう、心がけましょう。

    自転車による交通事故に備えた自転車保険加入のすすめ

    ただし、交通ルールを守って自転車走行をしていても、事故が起こってしまうケースもあります。
    このような場合に備え、自転車保険に加入しておくことをおすすめします。

    自転車保険に加入する人が増えている背景

    「自転車による事故を補償する自転車保険の契約が伸びている。2015年度の主要4社の新規契約は前年度の約2.4倍の47万件程度に増える見通し。ここ数年、事故で多額の賠償金を求められる事例が相次いでいるのが大きい。保険加入を求める自治体が増えていることも背景にある。市場拡大を見込む損保各社が販売に力を入れている。」(平成27年11月2日 日経新聞)

     

    上記の記事にあるように、多額の賠償金の支払義務を負わされる懸念があることから自転車事故の発生に備えた保険の加入が増えてきているようです。

    また、兵庫県においてはで、平成29年10月に、全国で初めて自転車保険の加入を義務付ける条例が施行されたようです。
    (兵庫県のサイト⇒https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk15/jitensyajyourei.html

    自転車による交通事故で多額の賠償を命じられる事例も

    上記のような事故の一例を挙げますと、ご自身はよくよく注意して自転車を運転している方であっても、小中学生くらいのお子様をお持ちの方の場合、お子様が誤ってお年寄りの方に衝突してしまい、大けがをさせてしまうという事故が考えられます。

    平成25年には、神戸地裁において、小学生の自転車にはねられた高齢女性が寝たきりになった事故を巡り、当該小学生の母親に約9500万円の賠償を命じる判決も出ています。

    このように、想定外の事故により多大なる賠償責任を負う可能性は、どの家庭にも少なからず存在しているといえます。

    もしもの時のために備えて

    このような場合に備えて、自転車保険の契約は被害者・加害者双方の立場にとって非常に重要であると思われます。

    最近は、損保会社本体から出されている保険商品以外でも、クレジットカード会社のあっせんで、月々500円程度の負担で、ご自身とご家族が他者に損害を与えてしまった場合に最大1億円まで補償がでるような保険も増えてきており、契約はさほど負担にならずできるようになっております。

    これを機に、皆さんも、自転車事故への対応も範囲となっている個人賠償保険等の加入をご検討されてみてはいかがでしょうか。

    自転車同士による交通事故は当事務所にご相談を!

    自転車事故の損害賠償の問題についても当事務所で交通事故無料相談を行っておりますのでご利用ください。

    当事務所では、自転車が関係する交通事故も多数解決例がございますので、お困りの際は、お気軽にご相談いただければと思います。

    詳しくは交通事故無料相談のページをご覧ください。