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「内容証明郵便」と「書留」はどう違うのか。違いと使い方について ほっかい法律事務所堀江 健太文書で支払を請求したりする場合などによく用いられる「内容証明」や「書留」ですが、その違いについて、皆さんはご存知でしょうか?
今回は、「内容証明郵便」と「書留」の違いについて、例を交えて詳しく解説いたします。
これさえわかれば大丈夫!「内容証明郵便」と「書留」の違いについて
そもそも、「内容証明」や「書留」とはなんでしょう。
それぞれの特徴や違いについてまとめました。
内容証明郵便
内容証明は正式には「内容証明郵便」と言います。
要は、相手方に送る文書と同じもの(「謄本(とうほん)」と言います)を、郵便局(日本郵便株式会社)に保管しておくことによって、必要な時に「どんな内容の文書を、いつ誰に送付したか」ということを証明してくれるものです。
ですので、内容証明自体に何か特別の効力があるわけではありません。
なお内容証明は「書留郵便」で送付されます。
(現在は「電子内容証明サービス(e内容証明)」もあり、郵便局まで行かなくても内容証明を送ることができます。書留につきましては、次でご説明します。)
内容が証明できても、その文書が無事に配達されたことも証明できなければ意味が無いため、一般書留郵便物等を配達した事実を証明する「配達証明」サービスを併せて利用するのが一般的です。
【利用料金】
内容証明の加算料金:430円 (2枚目以降は260円増)※切手の場合は封筒に貼付せずに、郵便窓口まで持ち込む
【例】
1枚(25g以内)の文書を内容証明郵便を配達証明付きで送付する場合82円(普通郵便料)+430円(書留郵便料)+430円(内容証明料)+310円(配達証明料)=1,252円
※2019年9月現在
書留
書留とは、配達までの郵便物等の配達過程を記録しているサービス。
万一、郵便物等*が壊れたり、届かなかった場合に(損害要償額の範囲内で)実損額を賠償してもらえる郵便制度です。
*ゆうパックを除く
書留の種類は、下記の3つがあります。
・一般書留
・現金書留
・簡易書留【利用料金】
基本料金+書留の加算料金※郵便物と荷物で異なります。詳しくは、日本郵便株式会社ホームページをご覧ください。
「内容証明」と「書留」の違いについて
「内容証明」と「書留」の違いは、「送付した文書の内容を証明できるか」が一番大きな違いです。
書留は郵便物の配達記録が残りますが、「どんな文書を送ったか」その内容までは証明できません。
内容証明の場合は「相手方に送付する文書を、郵便局にも保管してもらうことによって送付した文書の証明」ができます。
「内容証明」は、こんな時に使う!
普段の生活では、あまりなじみのない内容証明。
内容証明郵便は、どのような時に利用したらいいのでしょうか?
例を交えてご説明いたします。【例1】契約を解除したい時
たとえば契約を解除しようという場合は、契約を解除するという意思表示をしなければなりません。
これを普通郵便で送った場合どうなるかというと、相手から「そんな解除通知なんて受け取ってない」と言われてしまえばそれまでです。
「じゃあ書留で送ればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、書留はあくまで手紙が送られ、相手方が受領したことを示す配達記録が残るものに過ぎません。
そのため相手に「手紙はたしかに受け取ったけど、解除するという内容ではなかった」と言われてしまえばやはりそれまでです。
そこで内容証明郵便によって、契約を解除するという内容の通知を送ったことを証明する必要が出てくるのです。
【例2】お金を貸した場合
「いついつまでに返す」という返済期限を定めないで貸したお金というのは、法律上は貸した方が「返せ」と請求して初めて借り主は返済しなければなりません。
そして返せと請求したときから延滞利息が付くことになります。
具体的に言うと、ある人に返済期限を決めないで100万円を貸たとします。
今から1年前に返済を請求する文書を送ったとすると、特に延滞した場合の利率について定めなかった場合は年5%ですから、貸した方は元金と利息で合計105万円を払ってもらう権利があることになります。
しかし、普通郵便で送ってしまうと、借りた人から「そんな返済をしてくれなんていう通知受け取ってないよ」と言われてしまえば、返済を請求したことの証明は困難です。
その結果本来もらえたはずの利息も返してもらえなくなってしまいます(元金はもちろん改めて返済を請求すれば返してもらえます。)。
こういった大事な郵便物の場合に、内容証明郵便を使って請求することが必要になります。
まとめ
今回は、内容証明と書留の違いについてご説明いたしました。
契約に関すること、仕事の内容について、お金に関するトラブルなどの場合、大事な文書を「送った・送っていない」となってしまうと大変ですよね。
書留は、郵便物が配達されたことの記録しか残りません。
文書を送付したことだけでなく、内容を証明する必要がある場合には、内容証明郵便を利用しましょう。
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