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弁護士費用特約とは?加入していなくても弁護士依頼はできるのか? ほっかい法律事務所大崎 康二弁護士費用特約とは?
「弁護士費用特約」とは、自動車保険の補償に対する特約の一種で、相談料から報酬金まで一定の限度額内であればすべての弁護士費用を保険で支払うことできるという保険特約です。
現在ではどの保険会社でも弁護士費用特約を準備しており、ある保険会社のデータでは、平成29年3月時点で自動車保険加入者の約70%が弁護士費用特約に加入しているというデータもあります。
交通事故の被害者は専門知識がない中で保険会社との示談交渉に対応しなければならず、そのために保険会社との対応に困ることや泣き寝入りをしなければならなくなるケースもありえます。
しかし、弁護士費用特約があれば弁護士費用の心配をすることなく弁護士を依頼することができるため(しかも、特約の利用のみでは翌年以降の保険料も上がりません)、交通事故の被害救済のためには画期的な商品といえます。
実際に当事務所が相談・依頼を受ける交通事故案件でも大半のケースでは弁護士費用特約に加入している印象があり、この特約によって適切な損害賠償金を受け取ることができているという方が多いといえます。
加入率>使用率。弁護士費用特約の使用率が低い理由とは
しかしながら、弁護士費用特約は加入率に比べると使用率が低いといわれております。
その原因として保険契約者本人が弁護士費用特約に加入していることを知らないケースや、弁護士に依頼するメリットがわからずに弁護士費用特約を積極的には利用しない、というケースもあると思います。
弁護士に依頼するメリットがあるケースなのかについては、被害者ご本人にはなかなか判断がつきにくいように思います。
本来であれば保険代理店などから適切な情報提供がされることが必要ですが、この点については保険代理店によって温度差があり、必ずしも適切な情報提供が得られるというわけではありません。
弁護士費用特約を利用する前に知っておきたい4つのこと
弁護士費用特約を利用する際には、以下の3点を把握しておくとよいと思います。
1 損害賠償の金額を気にせずに弁護士に依頼できる
交通事故による損害賠償を請求する場合、たとえ弁護士を依頼したとしても、損害賠償の金額が大きく変わらないというケースもあります。
自分が損害賠償としていくら請求できるのかというのは被害者には通常は把握できませんし、弁護士に依頼することでどこまで賠償額が増えるのかという点もなかなかわかりません。
そのため、弁護士費用を払って弁護士に依頼することが経済的にプラスになるのかという点を心配し、弁護士への依頼を躊躇される方も多いと思いますが、弁護士費用特約があれば、この点を心配せずに弁護士に依頼することができます。
2 依頼する弁護士は自分で決めることができる
弁護士費用特約を利用する場合に依頼する弁護士は、自分の契約している保険会社から紹介してもらうこともできますし、自分で捜してきた弁護士に依頼することもできます。
弁護士を依頼する際には、被害者の話を親身に聞いてくれるか、明確な方針を立てているか、法律的な説明もわかりやすくしてくれるか、解決に向かって熱心に取り組んでくれそうかといういった点を考えて弁護士を選ぶ方が多いのではないかと思います。
弁護士費用特約により法律相談料も保険から支払われますので、自分が信頼できると思える弁護士と出会うまで、複数の弁護士の法律相談を受け、納得の上で自分の選んだ弁護士に依頼するという使い方ができます。
3 弁護士費用特約の利用だけでは保険の等級は下がらない(保険料は上がらない)
弁護士費用特約は、弁護士費用特約だけを利用しても保険の等級は下がりません。
例えば、過失割合が100:0の事故でこちらに過失はないというケースであれば、自分の人身傷害補償保険等の保険を使う必要はなく、このようなケースでは弁護士費用特約を使ったとしても、保険等級には影響せず、保険料が上がることはありません。
ただし、被害者側にも過失があり加害者に対して損害賠償義務を負うときに、その賠償金の支払いに被害者自身の保険を使った場合には、保険等級が下がります。
4 弁護士費用特約は調査費用にも利用可能
弁護士費用特約では、弁護士に依頼する費用が出るのはもちろんとして、損害を相手方(保険会社)に請求するために必要な調査費用についても出ます。
注:保険会社によっては調査費用は含まない場合があります。
事故状況(過失割合)に争いがある場合、保険会社は鑑定士に依頼して鑑定書を作成し、自分の主張が正しいことを主張してくることがよくあります。
鑑定においては高度な物理計算が必要となりますので、専門家の協力を得られなければ十分な反論が難しい面がありますが、工学鑑定などの鑑定費用は10~30万円ほどかかりますので、費用がネックになって鑑定を依頼できないというケースもあります。
しかし、弁護士費用はこのような調査費用も支払い対象になるものがあり、弁護士費用特約の登場により、こちらも鑑定を行うことが容易になりました。
具体的な活用例をご紹介します。
「停車後車を降りて鍵を閉めようとしていたところ、相手方の車が衝突してきて、玉突きで自分の車にあたり怪我をした」という事案がありました。
相手方(保険会社)は裁判において「衝突速度は低速であり、玉突きで自分の車にあたったというのは考えられず、仮にあたったとしても怪我の程度は軽微である」という趣旨の鑑定書を出してきました。
しかし、こちらで依頼した鑑定人に言わせると、その鑑定内容はあまりに杜撰なものであり、到底鑑定とは言えないような代物であるとのことでしたので、その鑑定人に鑑定書の作成を依頼することにしました。
この鑑定書が功を奏し、裁判所の出した判決においては、相手方の鑑定書は信用できないとされ、当方の主張が全面的に認められました。
弁護士費用特約がなくても弁護士に依頼できます
このような弁護士費用特約ですが、これはあくまで弁護士費用の支払いを保険会社が代行するというものにすぎません。
弁護士費用特約に加入していなかったとしても、示談交渉等に弁護士が必要という場合には、被害者自身が弁護士費用を負担して弁護士に依頼することになります。
交通事故案件の弁護士費用については、着手金の一部を保険会社からの損害賠償金の入金後に回したり、着手金を受領しないという弁護士も最近は増えています。
当事務所でも弁護士費用特約がない方については、着手金の支払いは保険会社から損害賠償金を回収した後にしていただくことにしておりますので、「着手金の準備ができないから」という理由で弁護士への依頼を諦める必要はありません。
弁護士費用特約があれば費用面では安心ですが、弁護士費用特約がなかったとしても、そのときの経済状況に合わせて弁護士に依頼する方法はありますし、弁護士に依頼することで損害賠償額が大幅に増額され,経済的なメリットが大きいケースについては、積極的に弁護士に依頼することが望ましいといえます。
もっとも、弁護士に依頼することで損害賠償金がどれだけ増額される可能性があるのかを知るためには、弁護士に法律相談し、できれば複数の弁護士の見通しを聞くことが必要です。
最近では、交通事故の法律相談は無料としている法律事務所が増えておりますので、できる限り複数の弁護士の法律相談を受けるのがよいと思います。
当事務所では交通事故無料相談を行なっています
本当は弁護士費用特約が使えるのに、それを知らないで泣き寝入りしているということはないでしょうか。
事故に遭った場合はまず、自分の保険契約の中身をしっかり見直してみるということが大事です。
ご自分の保険契約を見直して、弁護士費用特約に加入している場合には是非、弁護士費用特約を積極的に利用することをお勧めします。
当事務所に限ったことではありませんが、弁護士費用特約がなくても相談は受けられますし、弁護士に依頼することもできます。
弁護士費用については、相談前には心配する点も多いと思いますが、是非、弁護士に費用の点も含めて積極的にご相談ください。
札幌で交通事故に関する弁護士への無料相談をご希望の方は、当事務所の交通事故の法律相談のページをご覧ください。