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遺産分割協議書の書き方とポイントについて ほっかい法律事務所横山 尚幸※横山尚幸弁護士は令和3年6月30日をもって当事務所を退所いたしました。本記事は当事務所在籍中に執筆したものです。ご家族等、亡くなった方(被相続人)に資産や財産がある場合、相続人間で資産や財産の分け方を話し合い、遺産分割協議書を作成するケースがあります。
なお、遺産分割の基本的な考え方についてはこちらのブログをご確認下さい。
遺産分割協議書とは、相続人が遺産の分割について話し合う分割協議を行い、合意した内容を書面にまとめた文書のことで、この遺産分割協議書に基づいて、不動産の相続登記手続や預貯金の払戻・解約手続がなされることになります。
そのため、遺産分割協議書を作成する場合には、後々手続を想定して、漏れが無いように作成する必要があります。
今回は、遺産分割協議書の記載方法と注意したいポイントについて確認していきましょう。
遺産分割協議書は必ず書かなければならないのか?
実は、遺産分割協議書は必ず作成しなければいけないものではありません。
遺産分割協議書が必要とならないのは下記のようなケースです。
・公正証書遺言があり、遺言にしたがって遺産分割する場合
・相続人が一人しかいない場合
遺産分割書が必要になるケースや書くことによるメリット
しかし、遺産分割協議後に予定される手続によっては、遺産分割協議書が要求されることもありますし、遺産分割協議書を作成し、合意内容を明確にする必要もございます。
遺産分割に限った話ではございませんが、協議を行い合意した内容について、書面化することは、後の紛争を防止するために非常に重要となります。
遺産分割協議書を作成することで、後々「合意していない、納得いかない、そんなことは言っていない」と紛争を蒸し返されることを防止することができます。
また、協議内容とは異なる対応や行動を起こした相続人がいる場合も、協議書があることで異論を唱えるやすくなります。
後のトラブルを防止するためにも、遺産分割協議書はしっかりと記載し残しておくことをおすすめします。
遺産分割協議書の書き方の例
遺産分割協議書のサンプルをご紹介しますので、参考にしてください。
遺産分割協議書の書き方のポイントや注意したいこと
遺産分割協議書を書く際には、以下のポイントをおえておくとよいでしょう。
・遺産分割協議書の作成にあたり、相続人全員の合意を得る。
・被相続人の預貯金や車、株式などの資産は漏れのないように正確に記載する。(債務がある場合は債務の詳細も記載)
・不動産(土地や建物)がある場合、不動産は登記簿謄本に記載されている通りに記載。なお、記載内容が多くなる場合には、上記書式例のように別紙とすることもあります。
・代償分割の場合は、代償金額と支払期限を明確に記載する。
・署名押印(実印での押印が必要)
・印鑑登録証明書に記載されている住所の記載
・相続人全員の印鑑登録証明書 など
相続人全員の合意を得られないまま、遺産分割協議書の作成をした場合、その協議書は無効となりますし、記載する項目に漏れがあったり、記載した内容に間違いがあった場合は、手続に支障が出ることがあるため注意が必要です。
実印での押印や印鑑証明書の添付、印鑑証明書記載のとおりの住所の記載などは、遺産分割協議後に金融機関の手続が予定されている場合、求められることが多いという印象です。
遺産分割協議後に不動産手続が予定されている場合には、遺産分割協議書(案)を作成した時点で、司法書士の先生に登記手続上問題ないか、確認して頂くことが多いです。
遺産分割協議書の書き方でお困りの際は弁護士に相談を
遺産分割書の書き方で最も大切なことは、誰が読んでも「誰が何を相続したのか」という点が明確であることです。
相続人全員が円満に話合いがまとまっている場合には、多少の記載ミス、必要書類の不足があっても、書き直してもらったり、必要書類を追完してもらうことが出来るのでそれほど問題は無いと思います。
しかし、相続人間の対立が激しい場面では、仮に一度話がまとまり遺産分割協議書を作成できたとしても、後に記載ミスや必要書類の不足が発覚した場合に書き直しや資料の追完に協力してもらえるかどうかは分かりません。
したがって、このような場合には専門家に依頼して、慎重に遺産分割協議書を作成したほうが賢明だと思います。
当事務所では、相続・遺産分割の無料相談を行っております。
遺産分割協議交渉のご依頼を受けるにあたっては、各弁護士が司法書士と連携し遺漏のない協議書を作成することが出来ますので、安心してご依頼ください。