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会社破産に必要な費用と手続きの流れについてよくある質問 ほっかい法律事務所堀江 健太当事務所では、会社(法人)の破産についても多数のご相談,ご依頼を受けておりますが、会社の破産がどのようなものかについて全くイメージが湧かないという経営者の方も多く、ご依頼頂いた際には色々なご質問を受けます。
そこで今回は、会社破産の費用や破産後のことなどよくいただくご質問をふまえながら、会社破産の手続きの流れについてお話していきます。
会社破産に必要な費用はいくらぐらいなのか?
会社を破産させるために必要な費用ですが、弁護士費用の他に「予納金」というものを用意する必要があります。
これは、裁判所が破産手続を進めるために予め納付させるお金で、会社の規模や負債の額など事案にもよりますが、50~100万円程度からの金額の納付を求められます。
売掛金の入金を弁護士費用や予納金に回すケースも多い
会社が破産を考えるほどの状況なのに、そんなに多額の費用を用意することは不可能と思われるかもしれませんが、売掛金の入金がある会社であれば、それを弁護士費用や予納金に回すことも考えられます。
たとえば、月末に100万円の売掛金の入金があり、同時に200万円の支払いがあるとした場合、100万円の入金を支払いに回さず、破産のための費用に回すというケースも珍しくありません。
会社破産に必要な費用が用意できない場合
なお、どうしても会社の破産を申し立てる費用が用意できないという場合には、例外的ですが、会社については事実上の倒産状態のままで、経営者(代表者)だけ個人破産する方法を検討することもあります。
費用をかけて会社破産する意味とは?
わざわざ費用をかけて会社を破産させる意味があるのかということを聞かれることがありますが、破産という法的整理をすることには2つの意味があります。
①債権者の利益にもなる
破産手続によって債権者に配当が行われる場合はもちろんですが、仮に配当がなかったとしても正式な破産手続が行われることにより、債権者としては回収不能となった債権の損金処理が容易になります。
経営が赤字の債権者にとってはあまり意味はありませんが、黒字の債権者にとっては損金処理ができるということはそれだけ納める税金を減らすことができます。
しかし、債務者が破産せずに事実上倒産したような場合は、損金処理ができないわけではないですが面倒な手続きが必要になります。
②労働者のためにもなる
従業員に対する未払の給与がある場合、破産した会社の従業員がそのうちの8割相当額について労働者健康福祉機構から支払いを受けられる制度があります。
この制度では、最大で6ヶ月分の未払給与が対象になるため、給与の未払いがある場合には、従業員のためにも会社を破産させる意味があります。
なお、事実上倒産した場合であっても支払いを受けることはできますが、労働基準監督署長の認定を受ける必要があり、手間がかかります。
破産手続開始から手続きが終わるまでにかかる時間は?
破産した会社に特に資産が残っていない場合であれば第1回目の債権者集会で破産手続が終わることもありますが、通常は、資産の処分や配当等の手続を完了する必要から、2,3回程度の債権者集会が行われます。
債権者集会はおおむね3ヶ月おきに行われることが多いので、破産手続が開始してから手続きが終わるまでには、半年から9ヶ月ほどの期間がかかることになります。
会社の破産手続の流れについて
では、破産手続きを開始してから手続きが終わるまでにはどのようなことが起こるのでしょうか?
破産手続きの大まかな流れと合わせて、破産手続きに必要となる資料や破産手続き開始にかかるまでの時間、破産手続き開始後はどうなるのか、といった点などについて確認していきましょう。
破産手続を進めるための資料等の準備
破産手続を進めるためには、まず、裁判所に対してその旨を書面で申し立てることが必要になりますが、その書面には会社にどのような資産があり、また負債がどれだけあって、どのような経緯で破産するに至ったかなどの事項について記載する必要があります。
また、会社の資産や負債等に関する資料のコピーも数多く提出する必要があります。
ざっと挙げると、就業規則・賃金台帳・預金通帳・決算書・所有不動産の登記簿・リース契約書・不動産の賃貸借契約書・保険証券などが必要書類として提出を求められます。
破産手続開始までにかかる時間
これらの必要書類を用意して、資産の目録と債権者の一覧を作成するとなると、結構な時間がかかります。
最短で会社破産の依頼を受けてから1週間程度で破産を裁判所に認めてもらうことは可能ですが、通常2~3週間程度はかかります。
なお、会社の顧問税理士の協力が得られると、これらの準備が非常にスムーズに進みます。
事業が継続中の会社の場合
事業が継続中の会社の場合は、破産をすることが債権者に知られると債権者が現場に押し寄せて、返済を迫ったり商品を引き上げたりして大混乱となってしまうため、通常は債権者はもちろん従業員に対しても破産の準備をしていることを知られないようにしながら上記の準備を進めます。
そのため、従業員の解雇は破産の手続がスタートする直前に行うことが多いです。
会社の財産に関する権限は全て弁護士(破産管財人)へ移る
裁判所が、破産手続開始決定を行うことで破産の手続がスタートし、それ以降は、会社の財産に関する権限が全て裁判所が選任する弁護士(「破産管財人」といいます)に移ります。
通常、破産管財人の弁護士は、破産手続の開始後、直ちに会社に赴き、会社が破産した旨と破産管財人の弁護士の氏名・連絡先などを書いた張り紙をしたり、会社の状況を把握するために必要な書類を回収したりします。
破産管財人による債権者への配当
そして、破産管財人の弁護士は、会社の資産の内容を把握して、お金に換えられるものはお金に換え、可能であれば債権者への配当を行います。
ただし、実際には会社の資産が乏しいために、破産管財人に対する報酬分しか確保できず、債権者への配当にまで至らない場合も多いです。
破産手続が完了するまで社長は他の仕事をしてはいけない?
よく、破産手続が完了するまで社長(代表者)は他の仕事をしてはいけないのかと聞かれますが、そのようなことはなく、普通に仕事を始めていただいて問題ありません。
ただ、破産手続が始まった直後(1,2ヶ月位)は、破産管財人の弁護士の業務に協力して頂くことことも多く、そのための時間を確保することが必要になる場合もあります。
たとえば、売掛金の回収をする必要があるという場合、どういう取引先なのか、その取引先に支払能力はあるのかなどの事情について破産管財人は承知しておりませんし、資産の処分をするにしても、処分価格が適正な金額かどうかについては、その業界の人でなければ分からないこともあります。
したがって、破産管財人としては、破産会社の社長(代表者)に協力を仰ぐことが必要になります。
破産手続が始まってからおおむね3ヶ月後位に、裁判所で債権者集会が開かれます。
債権者集会は、破産管財人の弁護士が債権者に報告をするための集会ですので、それに向けて社長(代表者)が何か準備をしなければならないということは基本的にはありません。
会社破産でお困りの際は弁護士にご相談を
個人の破産についての情報はインターネット上の情報でもたくさんありますが、会社破産についての情報というのは少ないです。
そのため、会社破産についての不明点がある方や破産を検討している方は、ぜひ早めに法律家にご相談いただければと思います。
当事務所では、会社整理(倒産処理)に関する無料相談を実施しております。
弁護士費用やご案内等についても掲載しておりますので、会社破産を検討している方はぜひ一読していただき、お困りの際はどうぞお気軽にご相談ください。